名古屋大学人文学研究科 Graduate School of Humanities / School of Humanities

東洋史学 Asian History

大学院

 本研究室は宇都宮清吉によって中国史を中心に設立され,波多野善大,谷川道雄,森正夫,江村治樹と引き継がれ,日本における中国史研究の一大拠点となってきたが,現在は中国西南民族史研究,東南アジア史研究の拠点としての意味も増している。

 現スタッフの加藤は東南アジア大陸部北部一帯の歴史を研究対象とし,中でも現在の中国雲南省南部国境地帯に存在していた,シプソンパンナーというタイ族の政治統合を中心に研究を進めてきた。近年は,19世紀前半におけるシプソンパンナーとそれをとりまく諸勢力,すなわち中国清朝,ビルマ(ミャンマー)のコンバウン朝,シャムのラタナコーシン朝,現在のタイ北部にあったタイ族諸国などとの関係の解明に焦点を当てている。

 林はおもに中国雲南省にかつて形成された南詔・大理国の形成・発展と,それをとりまく唐や吐蕃との関係史,および南詔・大理国による雲南統治のもとで次第に形成され,今も同地方に広く居住する白族(ペー族)の歴史・文化を中心に研究を進めており,とくに白族の形成に関する論点は現地の研究者からも賛同を得ている。

 土屋はおもに中国近現代史を研究対象とし,とくに教育史の観点から,歴史教科書等を史料として,清末から日中戦争期におよぶ,日中の交流と衝突の歴史を体系的に把握することに努めてきた。また,台湾史も研究対象とし,近年は,日本統治時代から現代にいたる,歴史教育の展開過程を跡付けることに取り組んでいる。

 研究室では,宇都宮以来の学風が受け継がれている。その第一は自由を重んじることであり,このため院生自身の主体性の確立が求められている。第二は人間中心の歴史学を目指すことである。このような学風は,あくまで史料の精密な読解を基礎に成り立っており,授業においては史料の解読に多くの時間が割かれている。院生の指導に関しては,前期課程では修士論文の作成に最も重点が置かれ,個別指導のほか,院生主体の自主的研究会も大きな役割を果している。後期課程では博士論文の完成が求められ,その前提として研究成果を学会誌に公表することが一つの目標となる。研究室では院生・卒業生が主体となって『名古屋大学東洋史研究報告』を1972年以来毎年発行しつづけている。また,他の学会誌への投稿も奨励している。海外留学も積極的に奨励しており,中国を始めとしてタイ,インド,さらにイギリス留学の実績がある。

担当教員
学部

 東洋史学研究室では,東は朝鮮半島から西はアナトリアまで,広くアジア諸地域の歴史を対象として,所属の各人がその研究活動に従事しています。

 特に中国・東南アジアに関しては,それぞれ専門の教員がおり,最新の研究動向に触れつつ専門的な勉強をすることが可能です。ただ専門的な勉強とは言っても,同時に他のアジア諸地域の歴史に関心を持つことが望まれています。

 卒業論文・修士論文の研究テーマも,中国は古代から現代の共産党時代に関する問題までさまざまであり,また中国以外ではタイ近代史,ベトナム近代史,インド近代史,西アジア中世史と,非常に広い分野にわたっています。学生の皆さんが自分のテーマを見つけ,研究を進めていくことが奨励されていると言えるでしょう。

 授業は,中国史・東南アジア史の演習,すなわち漢文史料・英文資料・タイ語史料などを読み,討論することに多くの時間を割いています。空理空論ではなく,史料的事実にもとづいて歴史を構成する歴史学にとって,史料読解と分析はその根源とも言うべきものです。学生の皆さんはこうした演習を通して史料の読みかたを学び,さらに史料から引きだした事実にもとづき,当時の社会や人間のありかたについて討論していくことになります。

 もちろんこうした外国語史料を読み解いていく,というのは簡単なことではありませんが,最初からすらすら読める,などという人はいたためしがありません。本当の初歩から,一歩一歩進んでいきますので,心配しなくても大丈夫です。

 また近年は主に中国からの留学生がたくさん来てくれて,授業中のやりとりの中にいくらか中国語がまじったりすることもありますが,ナマの外国語に触れてみるのはよい経験に違いなく,こうしたことも東洋史学研究室で学ぶメリットのひとつと言えるでしょう。

担当教員

各学繋

言語文化学繋

英語文化学繋

文系思想学繋

超域人文学繋

歴史文化学繋

英語高度専門職業人学位プログラム

英語高度専門職業人コース

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