名古屋大学人文学研究科 Graduate School of Humanities / School of Humanities

哲学 Philosophy

大学院

 本分野・専門では主として西洋哲学の諸問題を研究対象としている。しかし哲学においては、過去・現代を問わず、同じ問題が異なった形で出て来ているので、何を研究テーマとして選ぶかということは、それほど本質的なことではない。各自が自分に合った哲学者ないし問題を選び、それを突破口として専門的な研究の道に入ればよいのである。大切なことは何よりも、自ら選んだ研究分野に深く入りこんでいくこと、自ら問題を立てて考えぬき、そこから一定の結論を導き出す力を養うことである。

 そのために一番確実な道は、古今の偉大な哲学者が著した原典と格闘し、彼らが精魂を傾けて切り開いた思想の道を、みなさん一人一人が自分でたどってみることであろう。哲学は、長い伝統の上に成り立っている、人類の偉大な知的遺産である。本研究室では、そのような信念のもとに、みなさんが自ら原典を深く読み、研究者として(そして究極的には十全たる人間として)独り立ちして自ら考えることを、最終目標として重視している。

 大学院生のみなさんは、演習・講義に出席し、リポーターになったり討論に加わったりすることによって、自分の思考力や議論の能力を養っていく。前期課程の目標は、自ら選択したテーマを消化し、修士論文を書き上げることである。その過程で養われた思考力や議論の能力は、社会人としての実生活で役立つことになるはずである。また博士後期課程に進んだ場合には、学会発表や博士論文執筆のために役立つことになる。修士課程を終え社会に出ていった人たちも、博士後期課程に進んだ人たちも、みなそれぞれの場で、社会人あるいは研究者として自立し、哲学研究を通して学んだことを活かしつつ、自らの道を切り開いて進んでいるという事実は、教員にとっても本当に嬉しく、励まされることである。

 本分野・専門で扱えるテーマの例としては次のようなものがある。真理陳述のカーニヴァル――ミシェル・フーコーの晩年の講義録について/先延ばしの克服について哲学的に何が言えるか/アリストテレスとアナクサゴラスの世界理解の比較/プロティノスによる世界万有の生成の説明体系/人工妊娠中絶との関連における胎児の道徳的地位の哲学的検討―英米倫理学における議論を中心に/レヴィナスにおける逃走の行方/アーレント物語論における「物語」とは何か、など。

担当教員
学部

 いっしょに知を愛する「哲学」の道を歩みましょう!みなさん、哲学という学問が紀元前6世紀に始まって、今なお続いているのを不思議だと思いませんか?「哲学」(ギリシア語でphilosophia)とは文字どおりには「知(sophia)を愛すること(philo)」を意味します。アリストテレスは、人間は生まれつき「知る」ことを求めると言っていますが、哲学はその意味で人間の自然本性に適った営みであると言えるでしょう。しかし何を知るのでしょうか? また「知る」とはどういうことでしょうか? そしてどのようにして知るのでしょうか? これらは、今なお探求されている哲学の大きな問題です。

 私たちの研究室では、「知ることを求める」人間の基本的欲求を大切にしつつ教育、研究に当たっています。学生の皆さんは卒論研究の主題として、古代ギリシアから現代までの哲学の長い歴史の中から「これを知りたい!」と思う哲学者ないし問題を自由に選ぶことができます。つまり、プラトンやアリストテレス、カントやヘーゲルといった一人一人の哲学者の考え方について研究するというやりかたもありますし、他方、例えば生命倫理、正義論やメタファーといった具体的テーマを研究するというやりかたもあります。一切、自由です。

 しかし正しい「知り方」というものがあるはずです。そこで求められるのが、哲学の伝統をきちんと押さえること、またそのために哲学の原典をきちんと読む能力を養うことです。それゆえ、研究対象として何を選ぶかにもよりますが、英語、ドイツ語、フランス語、そして古典ギリシア語やラテン語の素養も必要になってきます。しかし何よりも大切なのは、皆さんが自主的に問題意識をもって、学習、研究に向かうことです。研究室のメンバー―学生数は例年2年~4年の学部生20名程度、大学院生15名程度、教員3名―は、哲学の(知をともに求める)仲間として助け合いながら、日々の授業のみならず、自主的な読書会や勉強会を通して、今日も変わらずいっしょに学んでいます。

担当教員

各学繋

言語文化学繋

英語文化学繋

文系思想学繋

超域人文学繋

歴史文化学繋

英語高度専門職業人学位プログラム

英語高度専門職業人コース

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